【金管バンドナビ】#44 コンテストシーズン2024開幕その④

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みなさん、こんにちは。金管バンドディレクターの河野一之(コウノ カズユキ)です。

激闘の全英コンテスト(National Brass Band Championships of Great Britain)も終わり、イギリスにおける大きな大会は残すところ、エンターテイメント力を競い合う『ブラス・イン・コンサート』のみとなりました。

昨年度のチャンピオンは同年『全英大会予選北西部チャンピオン』、そして『ブリティッシュ・オープン・チャンピン』も獲得し一時は4barsrest(金管バンド最大手情報サイト)による世界ランキングで1位となったフォーデンス・バンド(Foden’s Band)でしたが、今年はどうなることでしょう?

ブラス・イン・コンサート2024

年に一度、チャンピオンセクションクラスの金管バンドの中で、最も素晴らしいコンサートを行うバンドを決めるエンターテイメント式コンテストであるブラス・イン・コンサート (詳しくはこちらの過去記事より)。このコンテストが本年も11/16(土)、17(日)と二日間に渡って開催されます。

出場バンド

今年はヨーロッパ各地より以下の11バンドが出場します。

  • The Cooperation Band(スコットランド)
  • Cory Band(ウェールズ)
  • GUS Band(イングランド)
  • Tredegar Band(ウェールズ)
  • Krohnengen Brass Band(ノルウェー)
  • Brighouse and Rastrick Band(イングランド)
  • Hammonds Band(イングランド)
  • Flowers Band(イングランド)
  • Carlton Main Frickley Colliery Band(イングランド)
  • Foden’s Band(イングランド)
  • Aldbourne Band(イングランド)

毎年英国以外からもノルウェー、アメリカ、フランスなど様々な地域からバンドが参加しており、今年はノルウェーよりクローネンゲン・ブラスバンド(Krohnengen Brass Band)が 参戦します。

見どころ

見どころはもちろん他の金管バンドのコンテストと違い、全てのバンドが30分という限られた時間の中で魅せるエンターテイメントの数々です。ソロや踊り、歌などはもちろんのこと多種多様な演出が今年も大変楽しみです。また世界初演作品などが披露されることも多いので、日本のバンドにとっては今後のレパートリーの参考になるでしょう。

また筆者自身の個人的な注目バンドもいくつかご紹介させていただきますので、ぜひ観戦の際のご参考にしてみてください。

注目バンド

ブリッグハウス&ラストリックバンド(Brighouse and Rastrick Band)

1881年に創団されたイングランドの強豪バンドの一つ、バンド名の由来は西ヨークシャー地方にあるブリッグハウス村とラストリック村双方の村人たちからの寄付により創団された歴史を持つことからです。

2022年Brass in Concert王者でもあり、過去には10度の全英大会チャンピオンにもなり、さらにブリティッシュ・オープン王者にも選ばれたことがある強豪バンドです。コルネット奏者、指揮者でもあるレジェンド『ディヴィッド・キング』(David King)とのコンビとなった際の勢いは大変強く、第100回記念の全英大会決勝での優勝など、キング氏との演奏では上位に入ったコンテストが多いです。

今回の指揮者は未だ公表されていませんが、全英大会で指揮を振る事が多いキング氏ではなく、近年よく指揮をしているディヴィッド・ソートン(David Thornton)氏が今回も振るのではないかと筆者は予想しています。どの指揮者がどんなショーを魅せるか、こちらもとても楽しみです。

コーリーバンド(Cory Band)

今年創団140年を迎えたウェールズの強豪バンド、コーリーバンド。もともとはトン・テンペランスバンド(The Ton Temperance Band)という名前でしたが、その後地元で影響力の強かったコーリー家がトン・テンペランスバンドの演奏に感銘を受け、サポートを始めたことで現在につながる名前となりました。(スポンサーの名前や創団した場所名がバンドの名前になることはよくあることです。)

過去15回のブラス・イン・コンサートでの優勝回数は脅威の9回、難曲を競い合うコンテスト以外にもエンターテイメントにも強いコーリーですが、これまでにシェイクスピアの『ロミオとジュリエット』や英国で人気の長寿ドラマ『Dr. Who』、ディズニーが映像化したことでも有名な『ジャングル・ブック』など毎回テーマに沿った舞台を作り上げてきました。

今年のテーマは『荒野の7人』、黒沢明監督の『七人の侍』のリメイクとして西部開拓時代のメキシコを舞台に作られた西部劇作品です。今年のCory in Brass in Concertがどんな新作を打ち出してくるか目が離せません。

フラワーズバンド(Flowers Band)

イングランド西部にあるグロスター州を本拠地にするバンドで、英国の他バンドに比べると比較的若い創団1968年のバンドです。もともとはこの地域の軍楽隊が解散する際に、新たに奏者たちが集まって結成された金管バンドでした。

当バンド、2024年は本当に勢いがすごく3月全英大会西イングランド地区大会、6月フレンチ・オープン、10月全英大会の全てで優勝とノリに乗っているバンドです。2023年のブラス・イン・コンサートでも3位まで登っていますので、ノリに乗ったフラワーズが今年最後のコンテストでどんなパフォーマンスを見せてくれるかとても楽しみです。

フォーデンスバンド(Fonden’s Band)

2023年の全英大会イングランド北西部地区予選優勝、ブリティッシュ・オープン優勝、全英大会決勝準優勝、さらにブラス・イン・コンサート優勝と2023年をフォーデンス一色とし、10数年ぶりにコーリーバンドから世界ランキング1位の座を奪い取ったフォーデンス(現在2024年11月は2位に陥落)、今年は王座防衛ということで燃えていることでしょう。

1902年にエドウィン・フォーデン(Edwin Foden)によって創設されたバンドで、元々の名前は自動車会社であったスポンサーの名を冠したフォーデンス・モーター・ワークス・バンド(Foden’s Motor Works Band) として誕生しました。

今年も韓国演奏ツアーなどを精力的にこなすイケイケのバンドです。素晴らしいソリストたちを有するフォーデンスの本気のエンターテイメント、要注目です。

ユースセクション出場バンド

コロナによるパンデミック以降長らく休止となっていたユース部門も今年から再開されます。今年の出場バンドは以下のバンドです。

  • Elland Youth Band(イングランド)
  • Houghton Area Youth Brass Band(イングランド)
  • Lancashire Youth Brass Band(イングランド)
  • Lions Youth Band(イングランド)
  • Macclesfield Youth Brass Band (イングランド)
  • Seindorf Beaumaris Youth Band(ウェールズ)
  • Wardle Academy(イングランド)
  • Youth Brass 2000(イングランド)

久々のユース部門ということで、未来のスター選手たちの活躍も見どころの一つです。

コンテスト情報

Brass in Concert

以下全て英国時間

11/16(土)11:00 ブラス・イン・コンサート

11/17(日)11:00 ユース・ブラス・イン・コンサート

公式サイト(英語)

最後に

年に一度、英国をはじめ世界中から強豪バンドが集まりそのエンターテイメントの腕を競い合うブラス・イン・コンサート、筆者の主観ですが筆者留学中も日本人が1番聞きにこられていたコンテストで、大変人気のコンテストです。当時は直接出向くかDVDでの鑑賞しか方法はありませんでしたが、現在ではWoB Playなどでライヴ観戦も可能です。ぜひ観戦してみてください!(WoB Play(英語、有料))

今回もありがとうございました。それでは、また次回お会いしましょう!


河野一之(Kazuyuki Kouno)

https://kazuyukikouno.wixsite.com/bassjunkie

洗足学園音楽大学、英国王立ウェールズ音楽歌劇大学院(PGDip)を修了。
Buffet Crampon Besson並びにMercer & Barker社アーティスト。
Nexus Brass Band、 Riverside British Brass、Immortal Brass Eternally 常任指揮者。 東京ブラスバンド祭マスバンド総括。河野企画代表。日本ブラスバンド指導者協会理事。

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