【吹奏楽ナビ】#90 編曲家 星出 尚志

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皆さま、こんにちは。

前回に引き続き、今年度の課題曲Ⅱ:ザ・ガーズの作曲者である星出尚志さんをテーマに、数ある吹奏楽編曲の作品から「ニュー・サウンズ・イン・ブラス」シリーズの作品を中心に、私が実際に演奏したことがあったり指導したことがある作品をご紹介します。

タイタニック メドレー

タイタニック メドレー
メモリー”海”~海の讃歌~サウサンプトン~トラブル発生~沈没~マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン(タイタニック・愛のテーマ)
作曲:.ホーナー 編曲:星出 尚志


演奏:東京佼成ウインドオーケストラ
指揮:岩井 直溥

私が中学生の時に初めて演奏した「ニュー・サウンズ・イン・ブラス」シリーズの曲が、星出尚志さんがアレンジした タイタニック メドレー でした。冒頭から中学生には難しい6連符が続いていき、3:12からのトラブル発生の高速パッセージなどの難所もあったりと当時はひたすら難しくて大変な曲という印象しかなかったのですが、映画「タイタニック」といえば主題歌のマイ・ハート・ウィル・ゴー・オンしか知らなかった当時の私に映画のサウンドトラックにはこんなに良い曲があるのだと知ることができた、映画「タイタニック」のサウンドトラックを吹奏楽で演奏することができる素晴らしいメドレーだと思います。

ルパン三世のテーマ

ルパン三世のテーマ
ルパン三世のテーマ~ルパン三世 愛のテーマ
作曲:大野 雄二 編曲:星出 尚志


演奏:東京佼成ウインドオーケストラ
指揮:岩井 直溥

私が高校生になって初めて演奏した「ニュー・サウンズ・イン・ブラス」シリーズの曲が、星出尚志さんがアレンジした ルパン三世のテーマ でした。中学生の時に演奏していたのが、ミュージックエイト社出版の ルパン三世のテーマ(ロックヴァージョン) による「ルパン三世のテーマ’78」だったので、このアレンジで使われている「ルパン三世’80」の新しいカッコよさに痺れたのを思い出します。トロンボーンのアドリブソロを経ての「ルパン三世 愛のテーマ」への繋ぎ方も見事で、トランペットのアドリブソロも楽しむことができ、演奏者にとっては過酷ですがルパン三世のテーマを吹奏楽で魅力的に演奏できる名アレンジだと思います。

ディズニー・ファンティリュージョン

ディズニー・ファンティリュージョン!
ファンティリュージョン・ファンファーレ~ファンティリュージョンのテーマ~歌とほほえみと~ハイ・ホー~いつか王子様が~ワン・ソング~ホール・ニュー・ワールド~ひと足お先に ~いつか王子様が~これが恋かしら~いつか夢で~パート・オブ・ユア・ワールド~美女と野獣~ファンティリュージョンのテーマ、グランド・フィナーレ編
編曲:星出 尚志


演奏:東京佼成ウインドオーケストラ
指揮:岩井 直溥

星出尚志さんがアレンジした「ニュー・サウンズ・イン・ブラス」シリーズの中にはディズニー作品がいくつかあり、1993年に出版された スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス を始めとして、リトル・マーメイド・メドレー などの作品がありますが、私の中で星出尚志さんがアレンジしたディズニー作品といえば ディズニー・ファンティリュージョン! が真っ先に思い浮かびます。東京ディズニーランドで1995年~2001年まで行われていた夜のパレード「ディズニー・ファンティリュージョン!」の音楽をそのまま編曲したものではなく、「白雪姫」と「アラジン」の曲を中心に吹奏楽版として構成し、吹奏楽で魅力的に演奏できる調性に編曲した星出尚志さんならではのアレンジ作品となっています。光り輝くパレードのキラキラ感を出している木管楽器の音符で真っ黒な楽譜が特徴的で技術的にはなかなかに難しいのですが、ファンティリュージョンのファンファーレやテーマのカッコよさとディズニー音楽の魅力を堪能できる名アレンジですので、是非チャレンジしてもらいたい作品です。

ジャパニーズ・グラフィティⅥ ~日本レコード大賞、青春の’70年代~

ジャパニーズ・グラフィティⅥ ~日本レコード大賞、青春の’70年代~
UFO~魅せられて~シクラメンのかほり~襟裳岬
編曲:星出 尚志


演奏:東京佼成ウインドオーケストラ
指揮:岩井 直溥

1994年に始まった ジャパニーズ・グラフィティ シリーズは、「ニュー・サウンズ・イン・ブラス」シリーズの中でも特にアマチュアの演奏会で聴くことが多い作品ですが、その中でも J-POP と呼ばれる日本で制作されたポピュラー音楽のメドレーが特に多く演奏されている印象で、私が ジャパニーズ・グラフィティ シリーズで最初に演奏したメドレー作品ということもあって強く印象に残っています。ジャパニーズ・グラフィティⅥ ~日本レコード大賞、青春の’70年代~ は私が高校を卒業した年の母校の定期演奏会のOBステージで演奏したのですが、コミカルでノリノリなピンクレディーの UFO、特徴的なイントロが印象的なジュディ・オングの 魅せられて、切ないメロディと歌詞が心に残る布施明の シクラメンのかほり、トランペットの痺れるイントロから郷愁溢れる森進一の 襟裳岬という構成とアレンジがあまりにも素晴らしく、ジャパニーズ・グラフィティ シリーズの中でも特に記憶に残っている作品です。

ジャパニーズ・グラフィティⅪ 「刑事ドラマ・テーマ集」

ジャパニーズ・グラフィティⅪ 「刑事ドラマ・テーマ集」
「太陽にほえろ!」メイン・テーマ~Gメン’75のテーマ~「はぐれ刑事純情派」メイン・タイトル~西部警察PartⅡテーマ「ワンダフル・ガイズ」
編曲:星出 尚志


演奏:東京佼成ウインドオーケストラ
指揮:岩井 直溥

ジャパニーズ・グラフィティ シリーズの中には、同じジャンルの主題歌などで統一された作品がいくつかありますが、その中でも特に印象に残っているのが ジャパニーズ・グラフィティⅪ 「刑事ドラマ・テーマ集」です。日本の刑事ドラマのメインテーマをメドレーにした作品で、こちらも母校の定期演奏会のOBステージで演奏したのですが、とにかく熱い曲が集まっているので演奏していると否応なしに興奮します。このメドレーの中では、私の祖母とよく一緒にテレビで見ていた「はぐれ刑事純情派」メイン・タイトルが私にとって思い出深く一番のお気に入りなのですが、実際のサウンドトラックで演奏しているトランペット奏者の数原晋さんがニュー・サウンズ・イン・ブラスの収録にも参加して演奏しているという話を聴いた時は衝撃でした。昔の日本の刑事ドラマのテーマ音楽の魅力を堪能できるメドレーだと思います。

ミュージカル「エリザベート」セレクション

ミュージカル「エリザベート」セレクション
プロローグ~皇后の務め~結婚の失敗~夜のボート~ミルク~楽しい黙示録~私だけに~ヴェールが降りる
作曲:.リーヴァイ 編曲:星出 尚志


演奏:昭和ウインド・シンフォニー
指揮:福本 信太郎

最後にご紹介する1曲は、「ニュー・サウンズ・イン・ブラス」シリーズではありませんが、星出尚志さんの名アレンジによる ミュージカル「エリザベート」セレクション です。
オーストリア=ハンガリー帝国の皇帝、フランツ・ヨーゼフ1世の皇后エリザベートの数奇な生涯を描いた、ミュージカル「エリザベート」は、ミヒャエル・クンツェの脚本・作詞、シルベスター・リーヴァイの作曲によって1992年に創作されたウィーン発のミュージカルです。日本では1996年に宝塚歌劇団の雪組が日本初演を行い、続いて2000年には東宝版のエリザベートが生まれ、それぞれ上演が繰り返されていて現在もなお高い人気を誇っています。
音楽はクラシックとロックを融合させたものですが、このセレクションでは星出さんの名アレンジのもと、インストゥルメントとしての面白さを優先した8曲による選曲で構成されています。

不穏な空気感によるトーンクラスターでミステリアスに始まる プロローグ《0:00~》から、早口で急き立てられるようなメロディが特徴の 皇后の務め《1:24~》、シニカルな空気感が特徴的なワルツ 結婚の失敗《2:50~》と繋がっていき、切ないメロディが心に沁みる 夜のボート《4:16~》、民衆の不満と怒りを重々しく訴えかける ミルク《6:27~》、軽妙で滑稽なメロディがいろいろな楽器のソロによって受け継がれていく 楽しい黙示録《7:36~》と様々なキャラクターの曲が繋がっていきます。エリザベートが「誰からも束縛を受けず、私は私だけのもの」と歌う、劇中で幾度と繰り返される印象的なナンバーの 私だけに《8:36~》が木管楽器のアンサンブルからトゥッティへと盛り上がっていき、ヴェールが降りる《10:59~》で悲劇的に幕を閉じます。
原曲に忠実な編曲のために技術的にも音楽的にもかなりの難易度の高さとなっていますが、リーヴァイが作曲した音楽の魅力を堪能できる素晴らしいアレンジだと思います。

あとがき

いかがでしたでしょうか。星出尚志さんのアレンジ作品の中から、私が実際に演奏したことがあったり指導したことがある作品をご紹介しました。

星出尚志さんが作曲した今年度の課題曲Ⅱ:ザ・ガーズ が日本全国のバンドによって取り組まれていくことにより、星出尚志さんの作品が広く知られていってたくさん演奏されていくことを、星出作品の大ファンの一人として強く願っております。

最後までお読みいただきありがとうございました。また次回お会いしましょう。

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塚本 啓理(つかもと けいすけ)
兵庫県出身。12歳より吹奏楽部でクラリネットを始める。
明石市立朝霧中学校、兵庫県立明石北高等学校、東京藝術大学音楽学部器楽科クラリネット専攻を経て、東京藝術大学大学院音楽研究科修士課程を修了。
在学中に東京藝術大学室内楽定期演奏会に出演。
小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトⅩ「ヘンゼルとグレーテル」、Ⅺ「蝶々夫人」に出演。
これまでにクラリネットを藤井一男、村井祐児、山本正治、伊藤圭の各氏に、室内楽を四戸世紀、三界秀実の各氏に師事。
現在は、フリーランスのクラリネット奏者としてオーケストラや吹奏楽、室内楽の演奏活動をすると共に、後進の指導も精力的に行っている。

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