【吹奏楽ナビ】名曲・名演紹介#2

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皆さま、こんにちは。

前回の 名演紹介 #1「ローマの祭り」/東海大四高(92年) はお楽しみいただけたでしょうか?

今回は海外吹奏楽オリジナル作品の超難曲として名高い、スミス作曲の「華麗なる舞曲」の名演をご紹介します。

クロード・トーマス・スミスがアメリカ空軍軍楽隊のために作曲した「華麗なる舞曲」は、とにかく技術的な難易度が最高レベルの曲として知られており、今でこそ中学生が吹奏楽コンクールで演奏するまでになりましたが、昔はコンクールで演奏すること自体がすごいと言われるほどでした。

木管楽器は連符での指回しや高速タンギングを駆使しながらの超絶技巧に加えてソロでの音楽表現も求められる難曲ですが、この曲はやはり超絶テクニックが必要な高速パッセージや決めどころのハイトーンが目立つ金管楽器の超難曲と言えるでしょう。

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名演紹介 #2 華麗なる舞曲/洛南高(92年)

華麗なる舞曲
作曲:C.T.スミス


全日本吹奏楽コンクール
1992年(第40回大会) 金賞
演奏:洛南高等学校吹奏楽部
指揮:宮本 輝紀

私が初めて華麗なる舞曲という曲を知ったのは中学1年生の時でした。この年の関西吹奏楽コンクールのCDに入っていた、関西支部の京都府にある洛南高校の演奏で初めてこの曲を知ったのですが、演奏の出来よりもこの曲かっこいい!という印象が強く残って何度も聴いていた記憶があります。

洛南高校はこの曲をコンクール自由曲として3回取り上げており、1998年の関西大会での演奏を初めて聴いた後に1987年の関西大会での演奏を知り、最後にこの1992年の全国大会での演奏に出会うことになるのですが、これは何もかもがとにかく凄い!という強烈な印象を残す名演でした。

洛南高校は私が高校生の時代は男子校で(2006年から男女共学)、吹奏楽コンクールやマーチングコンテストの関西大会で見かける度に男子校特有のオーラで溢れていました。吹奏楽コンクールではどの年の演奏を聴いても強烈な個性に惹きつけられ、確固たる意志が見える演奏が洛南の特徴だと思います。コンクールメンバーの人数が当時の上限の50名に満たない年が多かったこともあってか、曲中での楽器の持ち替えがかなり多く、木管から金管や打楽器に持ち替えという通常では考えられないことをさらっとやってのける姿に驚きまくったのが懐かしいです。

演奏について

曲の冒頭からアクセル全開で爽快感に溢れていて、誰もがこの曲かっこいい!とファンになるぐらいの衝撃があります。

曲のテンポ設定がギリギリの良いところをついており、タカタッの吹き方がリズム感が良く軽快さがありながらも荒過ぎないちょうど良いところにはまっていて、未だにこの演奏を超えるタカタッの吹き方に出会ったことがないぐらい唯一無二だと思います。

この演奏を例えるならジェットコースターのアトラクションのようで、各セクションの見せ場が見事に決まっていく驚きとこちらの期待に応えてくれる満足感を味わうことができます。ユーフォニアムの超絶パッセージやトランペットのハイトーンが見事に決まっていきます。

クラリネットにいざなわれて始まる中間部は木管楽器のソロ回しが見せ場で、オーボエ→クラリネット→アルトサクソフォーン→フルートがそれぞれ攻めの表現で見事なソロを聴かせてくれます(クラリネットソロの最後にリードミスが鳴ってしまうのはご愛嬌!)。

この曲を難曲として有名にしたといっても過言ではないピッコロトランペットのソロは2本で吹いていると思われますが初めて聴いた時には全く分からなかったぐらいで、ラストのハイEsが綺麗に決まるのがやはり素晴らしいです。

思い切ったカットでとんだ終結部でさらにアクセルを踏みこみ、最後まで勢いがおとろえることなく突き進んでいき最後のBの音が鳴り終わるやいなや男声の凄まじいブラボーが会場の普門館に響き渡ります。これもコンクールでの洛南高校名物でした。

あとがき

いかがでしたでしょう?これぞ吹奏楽コンクール!と言わんばかりの熱すぎる演奏で、何度聴いても元気になれる演奏をご紹介しました。

次回もまたまた同じ年の第40回大会、R.シュトラウスの作品の中でも超特大編成の大作を取り上げたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。また次回お会いしましょう。

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塚本 啓理(つかもと けいすけ)
兵庫県出身。12歳より吹奏楽部でクラリネットを始める。
明石市立朝霧中学校、兵庫県立明石北高等学校、東京藝術大学音楽学部器楽科クラリネット専攻を経て、東京藝術大学大学院音楽研究科修士課程を修了。
在学中に東京藝術大学室内楽定期演奏会に出演。
小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトⅩ「ヘンゼルとグレーテル」、Ⅺ「蝶々夫人」に出演。
これまでにクラリネットを藤井一男、村井祐児、山本正治、伊藤圭の各氏に、室内楽を四戸世紀、三界秀実の各氏に師事。
現在は、フリーランスのクラリネット奏者としてオーケストラや吹奏楽、室内楽の演奏活動をすると共に、後進の指導も精力的に行っている。

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