皆さま、こんにちは。
先月の4月21日で、真島俊夫さんが逝去されてから10年が経ちました。作曲家としてたくさんの名曲を残しているのはもちろんですが、編曲家としてもたくさんの名アレンジが生まれており、原曲に忠実なアレンジだけでなく真島俊夫さんにしかできないセンスに溢れたアレンジが一番の特徴です。今回と次回の2度に分けて、真島俊夫さんの数多ある編曲作品の中からいくつかをご紹介しようと思います。

喜びの島
喜びの島
作曲:C.ドビュッシー 編曲:真島 俊夫
全日本吹奏楽コンクール
2004年(第52回大会) 金賞
演奏:松山市立南中学校吹奏楽部
指揮:柿並 陽子
クロード・ドビュッシーが作曲したピアノ独奏曲 喜びの島 は、華やかな曲想でヴィルトゥオーゾ的なピアノの技巧が要求される作品ですが、2000年にこの作品のアレンジを真島俊夫さんに委嘱したのが、長野県・松本市立筑摩野中学校吹奏楽部の妹尾圭子先生でした。原調のA-durから半音上げてB-durに移調されているのですが、真島さんの巧みな楽器の使い方によって吹奏楽の華やかさと管楽器の色彩感がマッチしたアレンジになっており、原曲の良さも伝わる大変素晴らしいアレンジだと思います。
以前の記事では私がこのアレンジを初めてCDで聴いた松本市立筑摩野中学校の全国大会での演奏をご紹介しましたが、今回は私がこのアレンジを初めて生で聴いた松山市立南中学校の全国大会での演奏をご紹介します。明るいサウンドと溌剌とした音楽表現がドビュッシーの作品にマッチしており、吹奏楽の華やかなサウンドとアグレッシブな表現を堪能できる演奏だと思います。
バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲
バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲 より
I.夜明け III.全員の踊り
作曲:M.ラヴェル 編曲:真島 俊夫
全日本吹奏楽コンクール
2002年(第50回大会) 金賞
演奏:創価グロリア吹奏楽団
指揮:佐川 聖二
モーリス・ラヴェルが作曲した バレエ音楽「ダフニスとクロエ」は、吹奏楽コンクール全国大会で度々演奏されている人気曲でかなりの難曲でもあります。特に第2組曲からの抜粋が多く演奏されており、これまでに様々な吹奏楽編曲版が生まれてきたのですが、2002年に創価グロリア吹奏楽団の委嘱によって真島俊夫さんアレンジの吹奏楽編曲版が生まれました。
I.夜明け《0:00~》では、ラヴェルのフランス音楽だけでなく真島俊夫さんのアレンジによるお洒落なセンスも感じられ、フランス音楽特有の繊細な響きが印象的です。III.全員の踊り《3:21~》では分厚過ぎないオーケストレーションによって良い意味で吹奏楽らしくない美しい響きが印象に残るアレンジになっていると思います。これは創価グロリア吹奏楽団の高い技術と安定感のあるアンサンブルによって成り立っており、同団のレベルの高さもよく分かるアレンジだと思います。
美女と野獣
美女と野獣
プロローグ~朝の風景~愛の芽生え~美女と野獣
作曲:A.メンケン 編曲:真島 俊夫
演奏:東京佼成ウインドオーケストラ
指揮:岩井 直溥
1991年作のディズニー・アニメーション映画「美女と野獣」は、アニメ映画史上初のアカデミー賞作品賞ノミネート作品で、作曲賞と歌曲賞を受賞したディズニー映画の名作です。アラン・メンケンが作曲したサウンドトラックから4曲を抜粋し、真島俊夫さんの美しいオーケストレーションによる吹奏楽版のメドレーとして、「ニュー・サウンズ・イン・ブラス」第24集の中の一曲として1996年に出版されました。私が中学1年生の8月の終わりに、初めてのエスクラリネットでの本番で演奏した曲なので、当時のことが懐かしく思い出されます。
低音の重厚なGの音から始まる神秘的な プロローグ《0:00~》、爽やかで軽快な曲想の 朝の風景《1:52~》、アルトサクソフォーンのソロから始まるメロディが印象的な 愛の芽生え《3:19~》、トランペットとトロンボーンのデュオが印象的で感動的なメロディが心に残る 美女と野獣《4:17~》のメドレーになっており、アラン・メンケン作曲の親しみやすいメロディと世界観を堪能できる素晴らしいアレンジだと思います。
スター・ウォーズ ~コンサート・セレクション~
スター・ウォーズ ~コンサート・セレクション~
メイン・タイトル〜ダース・ベイダーのテーマ(帝国の行進)〜レイア姫のテーマ〜ヨーダのテーマ〜玉座の間とエンド・タイトル
作曲:J.ウィリアムズ 編曲:真島 俊夫
演奏:大阪市音楽団
指揮:真島 俊夫
1977年にアメリカで公開されたハリウッド映画「スター・ウォーズ」といえば、ジョン・ウィリアムズが作曲した映画音楽が有名ですが、映画のサウンドトラックからエピソード4・5・6の代表作を真島俊夫さんが編曲してメドレーにしたものです。
私が初めてシエナ・ウインド・オーケストラにエキストラで出演させていただいた時、この真島俊夫さんアレンジ版のメイン・タイトルがプログラムに入っていたのですが、弦楽器の高速パッセージが全てタンギングになっているのでどうするのだろうと思いながらも臨んだ初リハーサルで、団員の方々が普通に高速タンギングでサラッと演奏していることに驚愕し、私にとってはプロの凄さを目の当たりにした曲であると同時に、真島さんの編曲が見事なオーケストレーションで原曲を知っていても違和感が全くなく素晴らしいアレンジだということが分かった曲でもあります。
一度聴いたら忘れないぐらいにキャッチーでかっこいいメロディと宇宙を思わせる壮大な曲想が印象的な メイン・タイトル《0:00~》、こちらも一度聴いたら忘れないリズムと重厚なメロディが印象的なマーチの ダース・ベイダーのテーマ(帝国の行進)《2:04~》を経て、美しいメロディのレイア姫のテーマ《3:51~》から、優しいメロディのヨーダのテーマ《5:53~》へと繋がっていき、金管楽器の力強いファンファーレから玉座の間とエンド・タイトル《6:43~》が荘厳に繰り広げられます。原曲に忠実な編曲のために技術的にも音楽的にもかなりの難易度の高さとなっていますが、取り組む価値のある魅力的なアレンジだと思います。
My Favorite Things(私のお気に入り)
My Favorite Things(私のお気に入り)
作曲:R.ロジャース 編曲:真島 俊夫
演奏:トルヴェール・クヮルテット Trouvère Quartet
1965年に公開されたミュージカル映画「サウンド・オブ・ミュージック 」から、My Favorite Things(私のお気に入り)を真島俊夫さんがサクソフォーン・カルテットにアレンジしたものです。日本を代表するトルヴェール・クヮルテットのために書かれたため、個々のヴィルトゥオーゾ的な技巧を最大限に引き出すアレンジが大変素晴らしく、アンサンブルコンテスト全国大会でも演奏されたことがある名アレンジとなっています。
冒頭の導入からお洒落でセンスが良く、ジャズテイスト満載のアレンジでドライブ感たっぷりに進んでいきます。1:54の各楽器の超絶技巧のソロ回しから4人が同じリズムで集合する流れがクールでカッコよく、サクソフォーンカルテットの良さを最大限に引き出す素晴らしいアレンジだと思います。
あとがき
いかがでしたでしょうか。真島俊夫さんが編曲した作品の中から、クラシック寄りの作品をご紹介しました。
次回も、真島俊夫さんが編曲した作品をご紹介しようと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。また次回お会いしましょう。
塚本 啓理(つかもと けいすけ)
兵庫県出身。12歳より吹奏楽部でクラリネットを始める。
明石市立朝霧中学校、兵庫県立明石北高等学校、東京藝術大学音楽学部器楽科クラリネット専攻を経て、東京藝術大学大学院音楽研究科修士課程を修了。
在学中に東京藝術大学室内楽定期演奏会に出演。
小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトⅩ「ヘンゼルとグレーテル」、Ⅺ「蝶々夫人」に出演。
これまでにクラリネットを藤井一男、村井祐児、山本正治、伊藤圭の各氏に、室内楽を四戸世紀、三界秀実の各氏に師事。
現在は、フリーランスのクラリネット奏者としてオーケストラや吹奏楽、室内楽の演奏活動をすると共に、後進の指導も精力的に行っている。

