【吹奏楽ナビ】#94 エル・サロン・メヒコ

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皆さま、こんにちは。

今回は、前回にご紹介した バレエ組曲「アパラチアの春」の作曲家であるアーロン・コープランドの作品の中でも、吹奏楽コンクール全国大会で一番多く演奏されている エル・サロン・メヒコ の全国大会での名演を、全国大会で演奏された順番でご紹介しようと思います。

エル・サロン・メヒコ

エル・サロン・メヒコ は、アーロン・コープランドが作曲した管弦楽曲です。1932年の秋にメキシコを訪れたコープランドは、メキシコ・シティにある有名なダンスホールの異国情緒溢れる雰囲気に惹きつけられ、このダンスホールの名前であるエル・サロン・メヒコをそのまま題名にした曲を作曲しました。メキシコの民謡を素材としており、ダンスホール内の光景やその中にいる時の気分を描写した曲になっているのですが、複雑な変拍子が出てくるために演奏が大変難しい曲です。私はこの曲を大学1年生の吹奏楽の学内演奏会で初めて演奏したのですが、変拍子が難しい箇所がリハーサルからうまくいかず本番で崩壊してしまったことをよく覚えています。

青森県立弘前南高等学校 (1977年)

エル・サロン・メヒコ
作曲:A.コープランド


全日本吹奏楽コンクール
1977年(第25回大会) 金賞
演奏:青森県立弘前南高等学校吹奏楽部
指揮:斎藤 久子

エル・サロン・メヒコ が全国大会に登場したのは1977年で、この年に2校の高校によって演奏されましたが、演奏順が先だった青森県立弘前南高等学校の演奏が全国大会初演となっています。弘前南高校はその後全国大会5金を達成し、翌年の特別演奏を最後に全国大会には出場していないという伝説的な学校となっています。現代の上手な演奏とは一味違う、とても音楽的で魅力に溢れた個性豊かな演奏で、音楽の面白さを存分に伝えてくれる名演だと思います。

名古屋電気高等学校 (1977年)

エル・サロン・メヒコ
作曲:A.コープランド 編曲:M.ハインズレー


全日本吹奏楽コンクール
1977年(第25回大会) 金賞
演奏:名古屋電気高等学校吹奏楽部
指揮:松井 郁雄

1977年に エル・サロン・メヒコ を全国大会で演奏したもう1校が、現在も全国大会に出場し続けている東海支部の名門校である愛知工業大学名電高等学校の前身にあたる名古屋電気高等学校です。この年に全国大会で初演された曲とは思えない圧倒的な完成度の高さに驚かされる、パワフルな金管楽器の実力が遺憾なく発揮された名演だと思います。

西宮市立今津中学校 (1979年)

エル・サロン・メヒコ
作曲:A.コープランド 編曲:M.ハインズレー


全日本吹奏楽コンクール
1979年(第27回大会) 金賞
演奏:西宮市立今津中学校吹奏楽部
指揮:得津 武史

兵庫県を代表する古豪である西宮市立今津中学校の、ブラスバンドの鬼と呼ばれた伝説の教師であった得津武史先生の最後のコンクールとなった年の自由曲が エル・サロン・メヒコ でした。私が初めて聴いた エル・サロン・メヒコ が今津中学校の演奏だったのですが、今改めて聴いても個々の技術力の高さと楽曲の完成度の高さがあまりにも際立っていて、とても中学生の演奏とは思えません。エスクラリネットやクラリネットの音色も素晴らしく、歴史に残る名演となっています。

大阪府立淀川工業高等学校 (1985年)

エル・サロン・メヒコ
作曲:A.コープランド 編曲:M.ハインズレー


全日本吹奏楽コンクール
1985年(第33回大会) 金賞
演奏:大阪府立淀川工業高等学校吹奏楽部
指揮:丸谷 明夫

大阪府立淀川工業高等学校は、これまでに エル・サロン・メヒコ をコンクールの自由曲として3回演奏していますが、今回は演奏の熱量と楽曲の完成度とのバランスが一番良いと感じた1985年の演奏をご紹介します。6:27のエスクラリネットのソロはこの曲の見せ場だと思うのですが、ノリノリで音も良く最後のグリッサンドがバッチリ決まっていてブラボーです。若さ溢れるエネルギッシュな演奏で、関西特有の血が騒ぐような熱い音楽が印象的な淀工らしい名演だと思います。

愛知工業大学名電高等学校 (1995年)

エル・サロン・メヒコ
作曲:A.コープランド 編曲:M.ハインズレー


全日本吹奏楽コンクール
1995年(第43回大会) 金賞
演奏:愛知工業大学名電高等学校吹奏楽部
指揮:松井 郁雄

松井郁雄先生時代の愛知工業大学名電高等学校の演奏の中でも、特に私の記憶に残っている演奏の1つが1995年のエル・サロン・メヒコです。木管・金管・打楽器と全てのセクションが上手で隙がなく、特にトランペットセクションを中心とした金管楽器の圧倒的な音圧が特徴的で、トランペットソロのビブラートがイケイケで聴いていて嬉しくなります。この曲のノリにぴったりな雰囲気のある演奏で、現代ではあまり聴くことがなくなってしまったと思われる個性的な名演だと思います。

あとがき

いかがでしたでしょうか。コープランド作曲 エル・サロン・メヒコ の、全国大会での名演をいくつかご紹介しました。

最近はコンクールで聴くことがすっかりなくなってしまった曲の1つですが、再び全国大会で演奏されることを願っています。

最後までお読みいただきありがとうございました。また次回お会いしましょう。


塚本 啓理(つかもと けいすけ)
シエナ・ウインド・オーケストラ バスクラリネット奏者。
兵庫県出身。12歳より吹奏楽部でクラリネットを始める。
明石市立朝霧中学校、兵庫県立明石北高等学校、東京藝術大学音楽学部器楽科クラリネット専攻を経て、東京藝術大学大学院音楽研究科修士課程を修了。
在学中に東京藝術大学室内楽定期演奏会に出演。
小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトⅩ「ヘンゼルとグレーテル」、Ⅺ「蝶々夫人」に出演。
これまでにクラリネットを藤井一男、村井祐児、山本正治、伊藤圭の各氏に、室内楽を四戸世紀、三界秀実の各氏に師事。

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