【金管バンドナビ】#41 コンテストシーズン2024開幕その②

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みなさん、こんにちは。金管バンドディレクターの河野一之(コウノ カズユキ)です。

前回ご紹介させていただいた第170回ブリティッシュ・オープン(British Open)、みなさまご覧になりましたでしょうか?

ローストの新作『ロスト・サークル』を課題曲に、今回は大波乱が起きた第170回ブリティッシュ・オープンの結果と10月に開催されるThe National Finals(全英大会)についてお届けします。

第170回ブリティッシュ・オープン結果

英国イングランド・バーミンガム市にあるThe Symphony Hall(シンフォニー・ホール)で開催されたブリティッシュ・オープンが終了しました。

今回は英国中の強豪バンド、そして今年度スイス王者ならびに欧州選手権2連覇中であるブラスバンド・トレズ・エトワール(Brass Band Treize Etoiles)を含む計18バンドが参戦しました。結果は大混戦の末にブラスバンド・トレズ・エトワールが優勝し、優勝の証である巨大な黄金の盾をスイスに持ち帰りました。

また大注目であったヤン・ヴァン デル ロースト(Jan Van der Roost)の新作『ロスト・サークル(The Lost Circle)』も初公開され、その新たな世界観、そして難解さは金管バンド業界を震撼させました。

結果

以下にトレズ・エトワール含め上位5バンド分の順位をお載せします。

1位 ブラスバンド・トレズ・エトワール 指揮 フレデリック・セオドロス (Frederic Theodoloz)
2位 フラワーズ・バンド 指揮 ポール・ホーランド (Paul Holland)
3位 ブラック・ダイク・バンド 指揮 ニック・チャイルズ (Nicholas Childs)
4位 グライムソープ・コリアリー・バンド 指揮 マイケル・バッハ (Michael Bach)
5位 フォーデンス・バンド 指揮 ラッセル・グレイ(Russell Gray)

2位を獲得したフラワーズは(Flowers Band)はイングランドのバンドということでBrass Band England(ブラスバンド・イングランド協会)より来年2025年開催の欧州選手権への出場権を授与されました。

ソリスト賞

英国や欧州のコンテストではバンドへの賞の他にも、素晴らしい演奏を行った奏者やパートに対して金管バンド業界の過去の偉人たちの名を冠した各賞が与えられることもあります。今回ブリティッシュ・オープンでは以下のプリンシパル・コルネット、ソプラノ・コルネット、ユーフォニアム奏者の各最優秀奏者たちに賞が授与されました。

コルネット
マチルダ・ロー(ブラスバンド・トレズ・エトワール Mathilde Roh Brass Band Treize Etoiles)
スタンリー・ワインライト・メモリアル・トロフィー(Stanley Wainwright Memorial Trophy)


ソプラノ・コルネット
ポール・リチャーズ(フラワー・バンド Paul Richards Flowers)
ブライアン・エヴァンス・メモリアル・トロフィー(Brian Evans Memorial Trophy)

ユーフォニアム
アダム・ボカリス(ブラック・ダイク・バンド Adam Bokaris Black Dyke)
ゲオフリー・ウィッタム・メモリー・トロフィー(The Geoffrey Whitham Memorial Trophy)

降格

また今回とこれまでの成績の結果、18団体中14位ヘップワース・バンド(Hepworth Band)16位ノーソップ・シルバー・バンド(Northop Silver Band)が来年グランド・シールドに降格されます。(=ブリティッシュ・オープンの下位大会、詳しくはこちらの過去の記事よりご覧ください。)

第171回ブリティッシュ・オープン

ブラスバンド・トレズ・エトワールは王者防衛のために来年バーミンガムに戻ってくると公言していますし、英国の歴史と伝統のある偉大なトロフィーを外国勢に保持されたままではと英国勢も張り切っているはずです。来年はより一層激闘になること間違いなしのブリティッシュ・オープン、引き続き要注目のコンテストです。

また以前ご紹介しましたwobplayにて映像もアーカイブとして残っておりますので、未視聴の方はぜひこれを機会にお楽しみになってはいかがでしょうか?

woblay

課題曲スコア購入先

2024年全英大会

英国のバンドのみが出場し、まさしく英国1の金管バンドを決める大会である全英大会。1860年よりロンドンにあったクリスタル宮殿で開催され、現在のロイヤル・アルバート・ホールでの開催は1945年になってからです。この大会は9月10月と2か月にわたって全5階級で競われます。
(詳しくはこちらの過去記事よりご覧ください。)

開催日程

9/14(土)、9/15(日)
ファースト・セクションからフォース・セクション

場所:チェルトナム・レースコース

10/5(土)
チャンピオン・セクション

場所:ロンドン・ロイヤル・アルバート・ホール

下位セクション

9月14,15日と連日開催される下位セクションの大会は、なんと競馬場に併設されているケンタウロスと名付けられたイベントスペースで開催されます。(建物の中の様子はこちらからご覧ください。)

春に開催される地区大会を勝ち進んだ全4セクションのバンドがそれぞれのセクションに分かれて競い合います。

出場バンド

ファースト・セクション

課題曲:エクスカリバー / ヤン・バン デル ロースト

課題曲は日本でもとても人気の作品、アーサー王伝説で有名になった聖剣エクスカリバーが題材の作品です。先述したブリティッシュ・オープンの課題曲も手掛けたローストによる作品で、筆者自身国内で何度も指揮を振ったことがある通り、数多くの日本のバンドによって演奏をされています。

注目バンド

筆者の注目バンドは強豪バンドひしめくウェールズ地区大会を勝ち上がってきた『BTMバンド』、近年東京シティ・コンサート・ブラスの指揮者に就任したトム・ダヴォレン(Tom Davoren)が指揮をしていたことでも有名です。また先述しましたがブリティッシュ・オープンでも熱演を披露したノーソップ・シルバー・バンド(Northop Silver Band)、オープン経験者がどのような演奏をするかにも期待大です!

最後に

次回はセカンド・セクションや他下位セクションのご紹介をさせていただきます。
英国中から集まる猛者たちが繰り広げる熱演の数々、筆者自身とても楽しみです。ライブ・ストリーミングは今の所無さそうなのでwobplayにてブリティッシュ・オープンをご視聴がてら配信があるのを待ちましょう。

今回も誠にありがとうございました。


河野一之(Kazuyuki Kouno)

https://kazuyukikouno.wixsite.com/bassjunkie

洗足学園音楽大学、英国王立ウェールズ音楽歌劇大学院(PGDip)を修了。
Buffet Crampon Besson並びにMercer & Barker社アーティスト。
Nexus Brass Band、 Riverside British Brass、Immortal Brass Eternally 常任指揮者。 東京ブラスバンド祭マスバンド総括。河野企画代表。日本ブラスバンド指導者協会理事。

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