【私と吹奏楽】地球の裏側で(小田 英二 先生)

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吹奏楽やブラスバンドの指導の方にとって、吹奏楽とは?バンドとは?音楽とは?

全国の指導者の方々、 そして、バンド活動にがんばるメンバーたちへの応援の気持ちをこめて、現場の指導者の方の「声」をご紹介いたします。

※ミュージックエイトHPに掲載のコラム「私と吹奏楽」より引用

香川県高松市立山田中学校吹奏楽部小田 英二先生にお話を伺いました。
部員数:男子6名、女子24名(※部員数は掲載当時のものです)
部のモットー:一心同音

 吹奏楽の指導を始めて20年以上になります。その間にたくさんの子どもたちとの出会いがありました。運動会や文化祭、地域行事への参加、夏休みの吹コンや冬休みのアンコンにと、生徒たちとともに吹奏楽を楽しんだり、ときには格闘したりしてきました。

 そんな吹奏楽指導者としての生活の中で、もっとも印象深い3年間の思い出についてお話しします。

 それは、ある日突然やってきました。1月中旬の夕方、部活の練習を終えて職員室に帰ってきた私は、校長先生から大きな声で呼ばれました。校長室で待っていたのは海外日本人学校派遣内定の知らせでした。

 10日後には上京し、内定者研修を受けて帰郷、授業や校務と部活動(生徒指導上の問題があり、当時勤務していた中学校では卓球部を担当していた)等々、学年末のあわただしい中で、仕事と派遣準備という超多忙なスケジュールをこなしながら学年末を終え、2000年の4月上旬、家族4人で成田から『地球の裏側』に向けて飛び立ちました。

 南米コロンビアの首都にあるボゴタ日本人学校は赴任当初、児童生徒数40余名の小中併設校で、小1から中3までの子どもたちが通学していました。

 日系進出企業駐在員や大使館職員の子どもと、日本人のお父さんとコロンビア人のお母さんの間に生まれた在留邦人の子どもが半数ずつという児童生徒の構成でした。数年前に日本人学校の経営母体である日本文化協会(Asociacion Cultural Japonesa)が金管楽器を日本から購入し、前々任の先生が始めた金管バンドを受け継ぐ形で指導することになりました。

 バンド創設当時は中学部の生徒全員が音楽の授業の中で練習して、2月の『きさらぎ祭』という、ボゴタ在住の日系人が集う日本人学校の文化祭で演奏していました。

 私が赴任したときは、児童生徒数の減少傾向と音楽の授業時数削減が重なって苦しい時期でした。特に2001年の9.11ニューヨーク・テロの影響で企業が撤退を始めて、子どもたちの数が30名を割り込んでしまいました。そのため、小学部5年以上から希望者を募り、週1のクラブ活動の形をとりました。

 練習時間は週1時間(=45分)だけ、長期休業中は大半の子どもたちが家族とともに一時帰国したり、海外旅行に出てしまうので練習時間は取れません。日本の楽譜は手に入らない、なじみの楽器屋さんはいない、練習場所は音楽室だけ・・・・という環境の中で活動しました。

 子どもたちといっしょに、M8社のホームページから、金管バンドの曲の楽譜を探して、高松のなじみのT楽器に国際電話で注文して、義父に取りにいってもらい、月1回、これも義父が日本から送ってくれる日本食や雑誌類等の荷物の中に入れて送ってもらい……と、たくさんの人にお世話になりながら手に入れました。もちろん、こちらにも楽器屋さんはあるのですが、スペイン語しか通じないため、細かいニュアンスが伝わらないのであきらめました。ちょうど広島から派遣されていたH先生という、小学校時代にトランペットを吹いた経験のある体育の先生にも入っていただいて活動しました。特に『きさらぎ祭』で演奏したM8社の『上を向いて歩こう』は在留邦人の方々からとても喜ばれました。小5〜中3までで週45分の練習で、5月から始めて2月に発表ですから、演奏はけっして満足のいくものではありません。あの頃は、日本の学校のように児童生徒がたくさんいたらとか、楽器がたくさんあればとか、日本の中学校の吹奏楽部の練習環境と比較してあれこれと考えてましたが、いろいろと思い悩むのは私自身だけで、みんな純粋に音楽を楽しんでいたような気がします。今は夢のような過去の出来事ですが、私にとっては一生の宝物のような3年間でした。

 熱帯地域ながら、アンデス高原2600mの高地にあるため『常春の都』と呼ばれ、1年中日本の5月の気候が続く南米コロンビアの首都ボゴタ、700万を超える人口の中で約300人の日本人が生活しています。治安は悪いけれど、気候は世界最高だと思います。そんなボゴタでの3年間の教員生活を2003年の3月に終え、無事帰国しました。

 現在は高松市立山田中学校で吹奏楽を指導しています。運動会や文化祭、地域行事への参加、夏休みの吹コンと冬休みのアンコン……またもとの生活に戻りました。教務主任としての仕事が結構忙しくて、実際の指導はどうしても休日に限られてしまいます。指導をしながらも、まだまだ子どもたちから教わることもたくさんあります。

 山田中学校吹奏楽部のモットー(部訓)は『一心同音』です。他校で指導しているときから、山田中学校の『一心同音』という部訓を「いい言葉だなあー」と思っていました。今は『地球の裏側』とは全然違った環境の中で、また生徒たちとともに燃えています。

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