みなさん、こんにちは。金管バンドディレクターの河野一之(コウノ カズユキ)です。
灼熱の日本列島、皆さまはいかがお過ごしでしょうか。
日本金管バンド業界では、東京都東久留米市で開催された『ペンフェス2025』に続き、静岡県浜松市で行われた『ブラスバンドキャンプ in 浜松』も、日本各地から集まったバンズマンたちの熱気に包まれながら、今年も無事に幕を閉じました。
また、英国でも毎年素晴らしい金管バンドキャンプが開催されています。
そこで今回は、来夏2026年に開催が予想される日本および英国のさまざまな金管バンドイベントをご紹介します。
ぜひ皆さまも、夏休みを利用して参加してみてはいかがでしょうか。
誰でも参加可能!英国金管バンド・サマースクール 2026 夏

金管バンドの発祥地でもある英国では、夏の合間に多くのバンドが休暇を取ります。
しかし、せっかくの長期夏季休暇中でも金管バンドを楽しみたい世界中のバンズマンのため、英国各地では『ブラスバンド・サマースクール』と題した夏季講座が開催されています。
『サマースクール』といっても、研修のように堅苦しいものではありません。
参加者で構成されるバンドや室内楽(小編成アンサンブル)での演奏、ソロ演奏のほか、講師によるレッスンや演奏会の聴講も楽しめます。
さらに、毎夜開催されるクイズパーティーなどを通じて、世界中から集まる参加者や、第一線で活躍する講師たちと交流することもできます。
筆者も、英国ウェールズのスウォンジーで開催されているサマースクール、**International Brass Band Summer School(IBBSS)**に参加したことがあります。
約1週間の日程はあっという間に感じられるほど楽しく、当時出会った奏者とは今も親交が続いています。
以下の表は、今年開催された英国の主要なサマースクールをまとめたものです。
サマー・スクール名 | 所在地 | 音楽監督、指揮 | 日程 |
---|---|---|---|
Elgar International Brass Band Summer School (EIBBSS) | イングランド Bromsgrove School, Worcestershire | フィリップ・ハーパー(コーリーバンド) | 2025年7月27日〜8月1日 |
International Brass Band Summer School (IBBSS) | ウェールズ Swansea University, South Wales | ニコラス・チャイルズ(ブラック・ダイクバンド) | 2025年7月28日〜8月2日 |
Brass Band Summer School (BBSS) | イングランド Harrogate Ladies’ College, North Yorkshire | ロバート・チャイルズ | 2025年8月3日〜9日 |
タイムテーブル

多くの場合、サマースクールは約1週間のスケジュールで構成され、その期間中に先述のコンサートやレッスン、パーティーなど、さまざまなイベントを体験することができます。
例として、上記イングランド・ウスターシャー州開催の 『Elgar International Brass Band Summer School』 のタイムテーブルをご紹介します。

バンドのリハーサルは、メンバー全員で行う合奏(Full)だけでなく、コルネットならコルネットだけ、といった各楽器ごとのリハーサル(Sectionals)も組み込まれており、工夫が凝らされています。
サマースクールの終盤では、参加者によるソロやアンサンブルのコンサートに加え、講師陣によるコンサート、そして最終夜には参加者全員が演奏するコンサートが組まれています。
そのため、参加者は演奏もコンサートの鑑賞も両方楽しめる構成となっています。
共通する内容

先ほどご紹介した3つのサマースクールでは、いずれも宿泊施設が併設されており、参加者は楽器と荷物だけ持参すれば、それ以外の宿泊や食事(コースによっては朝食と夕食のみなど)はほとんどサマースクール側で用意されています。
これは、多くのコースが音楽ホールや練習室を備えた寮付き大学などを拠点に開催されているためです。
一流講師陣
サマースクールには、毎年英国中のトップバンドで活躍する奏者たちが講師として参加しています。
例として以下にご紹介する奏者たちは、来日経験もある素晴らしいメンバーです。
名前 | 所属バンド | 担当 | サマースクール |
オーウェン・ファー(Owen Farr) | 元コーリー | テナーホーン | IBBSS & BBSS |
クリストファー・トーマス(Christopher Thomas) | フラワーズ | トロンボーン | EIBBSS |
レズ・ニーシュ(Les Neish) | 元フォーデンス | ベース(チューバ) | EIBBSS & BBSS |
デイヴィッド・チャイルズ(David Childs) | 元コーリー | ユーフォニアム | BBSS |
ガリー・カーティン(Gury Curtin) | フォーデンス | ユーフォニアム | IBBSS |
トム・ハチンソン(Tom Hutchinson) | コーリー | コルネット | IBBSS |
マシュー・ルートレイ(Matthew Routley) | ダイク | ベース | IBBSS |
リチャード・マーシャル(Richard Marshall) | ダイク | コルネット | IBBSS |
各サマースクールでは、彼らの個人レッスンやグループレッスンを受講できるほか、講師による演奏コンサートを聴くこともできます。
2026年日程

サマー・スクール名 | 所在地 | 日程 | 参加予約サイト(英語) |
---|---|---|---|
Elgar International Brass Band Summer School (EIBBSS) | イングランド Bromsgrove School, Worcestershire | 2026年7月25日〜7月31日 | EIBBSS |
International Brass Band Summer School (IBBSS) | ウェールズ Swansea University, South Wales | 2026年7月26日〜8月1日 | IBBSS |
Brass Band Summer School (BBSS) | イングランド Harrogate Ladies’ College, North Yorkshire | 2026年8月2日〜8日 | BBSS |
まとめ
英国金管バンド業界のトップ奏者や指揮者たちの指導のもと、世界中から集まる金管バンド愛好家と過ごす1週間は、誰が参加しても十分に楽しめる内容となっています。
たとえ英語に自信がなくても、世界共通の言語である『音楽』を楽しめれば、そこには国籍や言葉の壁はほとんどありません。
大人気のイベントですので、ぜひ事前に予約をして参加してみてはいかがでしょうか。
というわけで、今回は英国サマースクール特集でした。
次回からはいよいよ始まる英国金管バンドのコンテストシーズンです。
今月9月には、英国で最も優勝が困難と言われる『ブリティッシュ・オープン』が開催されます。
10月には、地区予選を勝ち抜いた強豪バンドによる英国一を決めるコンテスト『全英選手権決勝』、
そして11月には、エンターテインメント王者を決めるコンテスト『ブラス・イン・コンサート』が行われます。
いずれも、今年2025年の世界ランキングに大きな影響を与える注目の大会です。
また、日本金管バンド業界でも年末に向けて、日本各地でさまざまなコンサートやイベントが開催されます。
ぜひ皆さま、各バンドのSNSなどで最新情報をチェックしてみてください。
今回もありがとうございます。またお会いしましょう!
河野一之(Kazuyuki Kouno)
https://kazuyukikouno.wixsite.com/bassjunkie
洗足学園音楽大学、英国王立ウェールズ音楽歌劇大学院(PGDip)を修了。
Buffet Crampon Besson, B&S並びにMercer & Barker社アーティスト。
Nexus Brass Band、 Riverside British Brass、Immortal Brass Eternally 常任指揮者。 東京ブラスバンド祭マスバンド総括。河野企画代表。日本ブラスブラスバンド指導者協会理事。