【金管バンドナビ】#45 コンテストシーズン2024開幕その⑤

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みなさん、こんにちは。金管バンドディレクターの河野一之(コウノ カズユキ)です。

今回はこれまでご紹介しましたシリアスなコンテストピースによるコンテストではなく、エンターテイメントの頂点を競い合うコンテスト『ブラス・イン・コンサート2024』の結果をご紹介します。前回ご紹介しました数々の素晴らしいバンドたちの熱演はどうなったのか、そして栄光に輝いたバンドはどこなのか、ぜひお楽しみください!

前回の記事はこちらからご覧ください。

ブラス・イン・コンサート2024結果発表

2024年のブラス・イン・コンサートの順位は以下の結果となりました。

https://www.facebook.com/coryband より引用

それぞれ1行目に順位、バンド名、指揮者となっており、2行目の数字が得点です。
得点は左から「音楽性」、「プログラムの内容」、「エンターテイメントとプレゼンテーション」となっていて、この内「音楽性」と「エンターテイメントとプレゼンテーション」は審査員2名がそれぞれ採点しての合計5項目となっています。最後の得点がその合計です。

  • 一位コーリーバンド、フィリップ・ハーパー
    (Cory Band Philip Harper): 57/57/38/20/19 = 191

  • 二位ブリッグハウス & ラストリックバンド、ディヴィッド・キング
    (Brighouse & Rastrick Band David King): 60/60/32/16/18 = 186

  • 三位フラワーズバンド、ポール・ホーランド
    (Flowers Band Paul Holland): 51/42/34/17/20 = 164

  • 四位フォーデンス・バンド、マイケル・フォールス
    Fodens Band (Michael Fowles): 48/45/30/18/17 = 158

  • 五位クローンエンゲンバンド、マグナス・ブランゼス
    Krohnengen Band (Magnus Brandseth): 36/51/40/12/11 = 150

  • 六位トラディーガー・バンド、イアン・ポートハウス
    Tredegar Band (Ian Porthouse): 54/48/22/11/12 = 147

  • 七位アルボーンバンド、カトリーナ・M ウィーラー
    Aldbourne Band (Katrina Marzella-Wheeler): 42/39/36/15/13 = 145

  • 八位クーオペレイションバンド、ディヴィッド・モートン
    the Cooperation Band (David Morton): 30/54/24/14/15 = 137

  • 九位ガスバンド、クリストファー・ボンド
    GUS Band (Christopher Bond): 39/33/28/19/16 = 135

  • 十位カートン・メイン・フリックリー・コリアリーバンド、アラン・ウィジントン
    Carlton Main Frickley Colliery Band (Allan Withington): 45/36/26/13/14 = 134

  • 十一位ハモンズバンド、モーガン・グリフィス
    Hammonds Band(Morgan Griffiths): 33/30/20/10/10 = 103

またコンテスト内の以下の賞もご紹介いたします。

  • 聴衆賞:フラワーズバンド
  • パフォーマンス賞:ブリッグハウス&ラストリックバンド
  • 最優秀エンターテイメント・パフォーマンス&プレゼンテーション賞:コーリーバンド
  • 最優秀プログラム賞:クローンエンゲンバンド
  • 最優秀新作、編曲作品賞:虚構の島 / マグナス・ブランゼス(Deceptional Island / Magnus Brandseth

以下最優秀ソリスト、パート賞

  • ベスト・ソリスト:ロジャー・ウェブスター (ブリッグハウス&ラストリック)
  • ソプラノコルネット:リチャード・ポール(フォーデンス)
  • 首席コルネット:ルーク・バーカー(フラワーズ)
  • フリューゲルホーン:ローレン・チン(フラワーズ)
  • テナーホーン:ハーレイ・ベィノン(アルボーン)
  • バリトンホーン:ジョエル・コリアー(コーリー)
  • ユーフォニアム:グリン・ウィリアムス(コーリー)
  • トロンボーン:アンドリュー・ヨークストーン(ハモンズ)
  • ベースパート:フォーデンス
  • 打楽器パート:フォーデンス

総評

上記の結果となりましたブラス・イン・コンサート2024、みなさんの予想はいかがでしたでしょうか?筆者自身は元コーリーバンドメンバーということもあり古巣バンドの勝利がとても嬉しいです。

今回特筆すべきは、上位2バンドの得点差はたった5点、そしてそこからガクッと開き二位と三位では22点差もの大差がつき、2強となったバンドとその他、という明暗がわかれる結果となりました。

今回優勝バンドであるコーリーバンド指揮のフィル(フィリップ・ハーパー)が選んだテーマは、黒澤明映画監督が作った『七人の侍』を西部開拓時代のメキシコに移したリメイク作品『荒野の七人』。会場内を正義のカウボーイと悪の集団に分け、聴衆を巻き込んでのエンターテイメントを披露し、見事優勝。コーリーバンドとしてはBiCでの10度目の優勝を飾り、フィル自身8度目の最優秀指揮者賞を受賞しました。

https://www.facebook.com/coryband より引用

また二位となったブリッグハウス&ラストリックバンドはアメリカの作家J.マッカレーが書いたことでも有名な『怪傑ゾロ』をテーマに舞台を展開しました。ブリッグハウスのプロフェッショナル指揮者として数々のコンテストでバンドを優勝に導いてきた『ディヴィッド・キング』が指揮、さらに生ける伝説のコルネット奏者『ロジャー・ウェブスター』を起用し挑んだコンテストでしたが惜しくも二位。しかし、「本コンテストでコンテストへの出場を最後にする」と公言したウェブスター氏は最後にきっちりベスト・ソリスト賞を受賞し、彼のコンテスト人生に幕を閉じました。(余談ですが、先日来日したブラック・ダイクバンドの首席コルネット奏者マーシャル氏はウェブスター氏の弟子であり、コーリーバンド首席コルネット奏者ハチンソン氏は孫弟子にあたります。)

https://www.facebook.com/brighouseandrastrick より引用

英国のチャンピオンシップ・セクションの頂点を決める全英大会決勝で優勝したフラワーズバンドはBiCでは三位入賞。ここで勝てていれば世界ランキング上位3バンドにねじ込めたかもしれませんが残念です。フラワーズは今年、『ゲーム音楽』をテーマに舞台を披露し、卓球のクラシックゲーム『ポン (Pong)』、『スーパーマリオブラザーズ』や『ギターヒーロー』などを題材にパフォーマンスを構築しました。総合得点では伸び悩みましたが、聴衆賞や首席コルネット、フリューゲルホーン賞などの栄冠に輝き全英王者としてのプライドを守りました。

https://www.facebook.com/FlowersBand より引用

第12 回全日本小学生金管バンド選手権

ここまで英国のコンテストを紹介してきましたが、12月には日本において小学生奏者のための金管バンドコンテストが開催されます。このコンテストについての詳細はこちらの過去記事からご覧ください。

昨年筆者自身も初めて観戦をさせていただいた『小学生金管バンド選手権全国大会』。この大会は小学生で構成された15名以上の金管バンドによる日本一を決めるコンテストで、今回で12回目の開催となります。昨年は徳島県徳島市立佐古小学校金管バンドの優勝で幕を閉じた大会でしたが、今年はどのバンドが栄冠に輝くか楽しみです。

今年の課題曲はヤン・ヴァン デル ローストに師事されていた広瀬勇人作曲『エンブレム』

作曲者による曲目解説はこちらからご覧ください。

全国大会情報

2024 年12月22日(日) 会場:大和高田さざんかホール〒635-0082 奈良県大和高田市本郷町6-36

全日本小学生金管バンド選手権連盟ホームページ

第12回大会要項

最後に

大熱狂の中幕を閉じました『ブラス・イン・コンサート2024』はいつもご紹介させていただいてるサブスクリプション音楽映像サービスサイト『wob Play』(有料、英語)にてアーカイブが残っておりますので、ぜひご覧ください。優勝したコーリーバンドの演奏をはじめ素晴らしいパフォーマンスばかりです。

また小学生金管バンド選手権も子供によるコンテストと侮れません。非常に演奏レベルも高いですし、運営組織のご尽力によりとても素晴らしいコンテストとなっていて、まるでヨーロッパで聞くようなコンテストの雰囲気に感動を覚えます。会場までの移動時はwob playにてBiCをご覧いただき、ぜひ現在日本で唯一の金管バンドコンテスト、小学生金管バンド選手権へも足を運んでみてください。強くお勧めします。

今回もありがとうございました。それでは、また次回お会いしましょう!


河野一之(Kazuyuki Kouno)

https://kazuyukikouno.wixsite.com/bassjunkie

洗足学園音楽大学、英国王立ウェールズ音楽歌劇大学院(PGDip)を修了。
Buffet Crampon Besson並びにMercer & Barker社アーティスト。
Nexus Brass Band、 Riverside British Brass、Immortal Brass Eternally 常任指揮者。 東京ブラスバンド祭マスバンド総括。河野企画代表。日本ブラスバンド指導者協会理事。

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