【吹奏楽ナビ】#69 木管アンサンブル

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皆さま、こんにちは。

想像を超える毎日の猛暑に参ってしまう日々ですが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

8月は吹奏楽コンクールシーズン真っ只中ですが、この時期は秋から始まるアンサンブルシーズンの選曲時期にもなっています。以前の記事(#16,#17)でアンサンブルコンテスト向けのクラリネットアンサンブルの名曲をご紹介しましたが、今回はクラリネットが編成に含まれているアンサンブルコンテスト向けの木管アンサンブルの名曲をご紹介します。

木管3重奏

ディヴェルティメント/アーノルド

ディヴェルティメント
1. Allegro energico 2. Languido 3. Vivace 4. Andantino 5. Maestoso 6. Piacevole
作曲:マルコム・アーノルド Malcolm Arnold
編成:Flute、Oboe、Bb Clarinet

イギリスの作曲家アーノルドディヴェルティメントは6つの楽章からなり、全部で9分ほどの曲です。アンサンブルコンテストでは1・4・5楽章の組み合わせでよく演奏されていた時期がありましたが、クラリネットが縦横無尽に駆け巡って大活躍する3楽章、英国風の牧歌的な旋律が美しい6楽章を加えた組み合わせでも演奏されており、アンサンブルコンテストでは演奏する組み合わせによってそれぞれのチームの特色を出すことができます。

こちらは土佐市立高岡中学校の全国大会での演奏で、1・3・4・5楽章のカットになっています。

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3本の為のディヴェルティメント(パート譜のみ)

落ち葉の舞う季節/渡部哲哉

落ち葉の舞う季節
作曲:渡部 哲哉 Watanabe Tetsuya
編成:Flute、Oboe、Bb Clarinet

航空自衛隊中部航空音楽隊のサクソフォーン奏者・コンサートマスターを歴任され、現在は「ネクサス音楽出版」の代表取締役である渡部哲哉さんが、2004年に静岡県立浜北西高等学校からの依頼を受けて作曲した落ち葉の舞う季節は、その後出版されてアンサンブルコンテスト全国大会で演奏されたことがきっかけとなってたくさんの団体によって演奏されています。この曲はクラリネットアンサンブルやサクソフォーンアンサンブルなどの様々な版となって演奏されていますが、私の中ではオリジナルの木管3重奏版の音色がやはりこの曲には一番合っていると思います。

こちらは福岡市立香椎第3中学校の演奏で、このチームのアンサンブルコンテスト全国大会での演奏を聴きましたがこの曲の良さがよく分かる大変素晴らしい演奏でした。

コレットによる組曲/ミヨー

コレットによる組曲
1.入場とロンド 2.タンブーラン 3.ミュゼット 4.セレナード 5.ファンファーレ 6.ロンド 7.メヌエット 8.カッコウ
作曲:ダリウス・ミヨー Darius Milhaud
編成:Oboe、Bb Clarinet、bassoon

フランスの作曲家ミヨーコレットによる組曲は8曲からなる組曲で、全部で9分ほどの作品です。オーボエ、クラリネット、ファゴットのリード楽器3本による「トリオ・ダンシュ」と呼ばれる3重奏の作品で、18世紀のフランスの作曲家ミシェル・コレットの名前が曲名に入っているとおり後期バロック時代の素朴な雰囲気の舞曲などが連なっている作品です。

こちらは飯能市立加治中学校の全国大会での演奏で、1・3・6・8曲のカットになっています。

木管5重奏

3つの小品/イベール

3つの小品
1. Allegro 2. Andante 3. Assez lent – Allegro scherzando
作曲:ジャック・イベール Jacques Ibert
編成:Flute、Oboe、Bb Clarinet、Horn、bassoon

フランスの作曲家イベール3つの小品は、音大生で木管5重奏に取り組むにあたって避けては通れない大切なレパートリーとなっている曲です。私も大学で組んだ木管5重奏で初めて演奏したのはこの曲でした。爽やかな風のように爽快に駆け抜ける1楽章、フルートとクラリネットの二重奏が美しい2楽章、おしゃれでそれぞれの楽器の絡みが面白い3楽章と、性格の違う3曲でフランスのエスプリを味わえる作品ですが、5人全員にしっかりとした技術力が必要でアンサンブル的にも難しい難曲となっています。

こちらは東海村立東海南中学校の全国大会での演奏で、1・3楽章のカットになっています。

5つの管楽器のための小室内音楽/ヒンデミット

5つの管楽器のための小室内音楽 作品24 第2番
1. Lustig 2. Walzer 3. Ruhig und einfach 4. Schnelle Viertel 5. Sehr lebhaft
作曲:パウル・ヒンデミット Paul Hindemith
編成:Flute、Oboe、Bb Clarinet、Horn、bassoon

ドイツの作曲家ヒンデミット5つの管楽器のための小室内音楽 作品24 第2番は5つの楽章からなり、全部で14分ほどの曲です。ヒンデミットらしい皮肉がきいていてドイツ特有の重厚な響きも求められる曲で、音大生が取り組む上でも技術的にもアンサンブル的にも難しいのですが、中学生がアンサンブルコンテストで見事に演奏しているのを聴いた時は大変驚きました。

こちらは相馬市立向陽中学校の全国大会での演奏で、1・5楽章のカットになっています。

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5つの管楽器のための小室内楽曲(パート譜のみ)

木管6重奏

木管6重奏のための「春」

木管6重奏のための「春」
1. 目覚めの季節 2. 愛の歌 3. 鳥のダンス
作曲:アンリ・トマジ Henri Tomasi
編成:Flute(Piccolo)、Oboe、Bb Clarinet、Alto Saxophone、Horn、bassoon

フランスの作曲家トマジ木管6重奏のための「春」は、3つの楽章からなる全部で9分半ほどの曲で、木管5重奏の編成にアルトサクソフォーンを加えた木管6重奏という珍しい編成となっています。いわゆる現代音楽的な曲で、複雑な変拍子や高速パッセージなどかなりの難曲となっていますが、技術的にレベルが高いメンバーが集まっているなら是非チャレンジしてほしい曲です。

こちらは八王子高等学校の全国大会での演奏で、1・2・3楽章から抜粋したカットになっています。

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木管六重奏のための「春」【Printemps】

あとがき

いかがでしたでしょうか。クラリネットが編成に含まれているアンサンブルコンテスト向けの木管アンサンブルの名曲をご紹介しました。

次回は、Bbクラリネットのみの編成でのアンサンブルコンテスト向けのクラリネットアンサンブルの作品をご紹介します。

最後までお読みいただきありがとうございました。また次回お会いしましょう。

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塚本 啓理(つかもと けいすけ)
兵庫県出身。12歳より吹奏楽部でクラリネットを始める。
明石市立朝霧中学校、兵庫県立明石北高等学校、東京藝術大学音楽学部器楽科クラリネット専攻を経て、東京藝術大学大学院音楽研究科修士課程を修了。
在学中に東京藝術大学室内楽定期演奏会に出演。
小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトⅩ「ヘンゼルとグレーテル」、Ⅺ「蝶々夫人」に出演。
これまでにクラリネットを藤井一男、村井祐児、山本正治、伊藤圭の各氏に、室内楽を四戸世紀、三界秀実の各氏に師事。
現在は、フリーランスのクラリネット奏者としてオーケストラや吹奏楽、室内楽の演奏活動をすると共に、後進の指導も精力的に行っている。

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