【金管バンドナビ】#37 オセアニア地域の金管バンドとコンテスト①

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みなさん、こんにちは。金管バンドディレクターの河野一之(コウノ カズユキ)です。

前回『#36全国で開催されている金管バンドイベント2024』にてご紹介しましたイベントの数々、みなさまお楽しみいただいているでしょうか?この記事を書いている6月も日本各地で様々な金管バンドコンサートが開催されます、ぜひ日本金管バンドの初夏、そして真夏のイベントやコンサートの数々お楽しみください。

さて、これまで欧州で生まれた金管バンドということでイギリスを中心にヨーロッパの金管バンド事情について掘り下げてきましたが、そんなヨーロッパに縁のある地域オセアニア地域の金管バンドについてご紹介したいと思います。ぜひお楽しみください。

オセアニア地域の金管バンドとコンテスト

オセアニアというのは、アジア、ヨーロッパ、アフリカ、そして北アメリカ、南アメリカを含む6大州の一つです。この地域には日本での有名どころを挙げると、オーストラリアやニュージーランド、パラオ共和国などが含まれており、一般的には16カ国、25の保護領を加えた地域とされています。

日本の金管バンド業界的にはコンテストがYoutube『Brass Banned』で生放送されている地域最大のシェアをもつオーストラリアや、日本ツアーを行った『ウェリントン・シタデルバンド(Wellington Citadel Band)』によって人気となったニュージーランドの金管バンドも有名です。

さらに調べてみるとオセアニア地方の様々な地域、国で金管バンドが存在していることがわかりましたので一部ご紹介します。

トンガ王国

オーストラリアの東部に位置する王国で、1900年から1970年まで英国による保護国(条約に基づき、主権の一部を代行させることによって、その国から保護を受ける国のこと)であったことに由来して、金管楽器と打楽器のみによる金管バンドが存在しています。

First Tongan Christian Brass Band

オーストラリア

1788年にニューサウスウェールズ州シドニーで植民地宣言をされ英国の一部となったオーストラリアにはその後、英国の様々な文化が流入し、その中の一つが金管バンドでした。

軍楽隊としての音楽からその後『民衆のための音楽』として金管バンドは人気となり、1900年10月にはバララットにて『ロイヤル・サウス・ストリート・コンペティション(the “Royal South Street Competitions”)』が開催され、ヴィクトリア地方、ニューサウスウェールズ地方、タスマニア地方から9バンドが参加し、通常の座奏による演奏とマーチングでの演奏にて競い合いました。

現在では100年以上続く伝統的なコンテストが存在し、235団体もの金管バンドを有する金管バンド大国の一つです。

ヤマハ・全オーストラリア・バンド・チャンピオンシップス(The Yamaha Australian National Band Championships)

1961年よりオーストラリアに進出した日本創業の企業『ヤマハ』、このヤマハのオーストラリア支社が全面的なスポンサーとなり開催されている、オーストラリア・チャンピオンを決めるコンテストです。

金管バンドと吹奏楽の両方のコンテストが同時期に開催されており(競技は別)、それぞれのバンドの階級は英国のグレードであるチャンピオン・セクションから4thセクションという決まりではなく、シンプルにA~Dグレードという呼び方をされます。

2024年参加バンドリンク

https://www.nationalbandchampionships.com.au/index.php/bands

またコンテストの形式もヨーロッパのものに比べると独特で、先述の1900年開催の『ロイヤル・サウス・ストリート・コンペティション』からの流れを組み、以下のようになっています。

  • 課題曲(Test piece)
  • 讃美歌(Hymn)
  • 実際に行進しながらの行進曲(March)
  • 自由曲(Own Choice)

またソロのコンテストや室内楽(小編成アンサンブル)のコンテストも並行して開催され、毎年4月開催のこの時期のオーストラリアバンド業界は大盛り上がりとなります。

2024年大会のAグレード課題曲は2022年英国のブリティッシュ・オープンの課題曲となった『The World Rejoicing / Edward Gregson』で、この曲を課題曲に設定するオーストラリア金管バンド業界のレベルの高さが伺えます。筆者も実際に視聴しましたが素晴らしいレベルの演奏が多く、とても感動しました。

終わりに

金管バンド・オセアニア編①いかがでしたでしょうか?日本からみると実はヨーロッパよりも身近な場所にあるオセアニア地方ですが、その昔の大航海時代から植民地時代などでヨーロッパの文化が流入し今現在でも数多くの金管バンドが活動しています。

特にイギリスの影響を色濃く受けたオーストラリアやニュージーランドは数多くの金管バンドが存在し、また日本人奏者も活動しています。コンテストなどのイベントもたくさん開催されていますのでぜひ欧州のバンドと共にオーストラリアのバンドにも注目してみてください。

次回はニュージーランド編ということで、筆者も大阪・兵庫を拠点に活動されているImmortal Brass Eternallyと共に指揮者として参戦する7/10~13開催The New Zealand Championshipsについてご紹介いたします。

ライヴ・ストリーミングで生放送を実際に観戦できるリンクもご紹介しますので、ぜひ7/10~13のご予定をお空けいただき、お楽しみに!

今回もありがとうございました。またお会いしましょう!


河野一之(Kazuyuki Kouno)

https://kazuyukikouno.wixsite.com/bassjunkie

洗足学園音楽大学、英国王立ウェールズ音楽歌劇大学院(PGDip)を修了。
Buffet Crampon Besson並びにMercer & Barker社アーティスト。Sony Music Stand Up Orchestra チューバ奏者。Nexus Brass Band、 Riverside British Brass、Immortal Brass Eternally 常任指揮者。 東京ブラスバンド祭マスバンド総括。河野企画代表。日本ブラスバンド指導者協会理事。

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