最終更新日 2024.03.15
吹奏楽部・音楽部では今年も新入部員獲得にやきもきする時期がやってまいりました。部活動の数や環境にもより大きく増減するかと思いますが、毎年新入生の1割にあたる新入部員を目標とする先生が多いようです。特に中小規模の部では、夏のコンクールへの出場部門が変わったりと、今後の展望を左右するので頭を悩ませる先生も多いかと思います。今回は、先ほどもお話にあがりました夏のコンクールに向けて、特に中小規模の部活で活躍する自由曲用の楽譜をご紹介します。
INDEX
「ノートルダムの鐘」,「トスカ」が発売に!
毎年この時期になると、ミュージックエイトから発売される”コンクール セレクション”という楽譜シリーズがあります。シリーズの特徴は後述しますが、今年は以下の3曲が発売となるようです。
CS21 「ノートルダムの鐘」より【The Hunchback of Notre Dame】
「ノートルダムの鐘」より【The Hunchback of Notre Dame】
グレード : 4.0
作曲:Alan Menken
編曲:佐藤博昭
演奏時間:6分40秒
『ノートルダムの鐘』は、フランス文学の巨匠ヴィクトル・ユーゴーによる小説『ノートルダム・ド・パリ』を題材にディズニーが制作した長編アニメーション映画です。1996年に公開されて以来、ミュージカル版とともに世界的人気を博しています。
この吹奏楽版では、映画を壮大に彩るメインテーマ『ノートルダムの鐘』を軸に据えて、無礼講のどんちゃん騒ぎ『トプシー・ターヴィー』、ジプシーたちに捕らわれて緊迫する『奇跡の法廷』、祈りのバラード『ゴッド・ヘルプ』を選びました。長調と短調を交互に配置して、各曲の特色が際立つように編曲しています。
製品ページ:解説より引用
ディズニー映画、ミュージカルで愛される本作ですが、ディズニーサウンドの巨匠 アラン・メンケンが手掛けるその楽曲はとてもシンフォニックで、特に“鐘”を模したチャイムが映えるメインテーマはドラマチックで演奏効果も高く、近年の吹奏楽コンクールでも人気が上がっている作品です。秋の文化祭などでもメインに出来る点が人気を後押ししているようです。文化祭での演奏は翌年の新入部員獲得にも大きく影響しますので、そこでコンクールで練度を上げた演奏を披露できるというのはたしかに大きいですね!
CS22 歌劇「トスカ」第1幕より【Excerpts from “Tosca” Act I】
歌劇「トスカ」第1幕より【Excerpts from “Tosca” Act I】
グレード : 4.0
作曲:Giacomo Puccini
編曲:佐藤丈治
演奏時間:6分45秒
CS23 歌劇「トスカ」第3幕より【Excerpts from “Tosca” Act III】
歌劇「トスカ」第3幕より【Excerpts from “Tosca” Act III】
グレード : 4.0
作曲:Giacomo Puccini
編曲:佐藤丈治
演奏時間:6分40秒
イタリアオペラの大家、ジャコモ・プッチーニが作曲した3幕からなるオペラです。1800年頃のローマを舞台に、画家のカヴァラドッシと、彼の恋人で有名な歌手トスカ、そして残忍な警視総監スカルピア、これらの主要な登場人物が最後には皆命を落としてしまう愛と悲劇の物語で、1900年に初演されました。プッチーニが織りなす甘美なメロディと劇的な音楽は、フィギュアスケートで用いられることも多く、オペラを知らなくても耳にしたことがあるのではないでしょうか。
製品ページ:解説より引用(第1幕、第3幕ともに同じ)
「ラ・ボエーム」「蝶々夫人」「トゥーランドット」……などなど、プッチーニの名作オペラと言えば多数ありますが、その中でも吹奏楽人気の高い「トスカ」が発売されました。トスカと言えば20世紀最高のオペラ歌手とも言われたマリア・カラスを連想する方も多いのではないでしょうか(マリア・カラスのアリアで有名なのは第2幕なので今回は未収録)。第1幕、第3幕ともに吹奏楽人気が高いので、どちらも高い演奏効果が見込めそうです。試聴音源はまだ掲載されていませんが(2023年4月現在)、抜粋部分を参照すると他編曲でも人気の高い部分ばかりなので、吹いてみて「何じゃこりゃ?」となる心配は無さそうです。
楽譜シリーズの特徴
ご紹介している”コンクール セレクション”シリーズの楽譜ですが、コンクール向けとして以下の特徴があります。
演奏時間7分以内
吹奏楽コンクールでは演奏開始から終了までの時間は7分以内と規定されており(課題曲もある場合は合わせて12分以内)、それを1秒でもオーバーしたら失格となり審査対象外となってしまいます。そのため楽譜の表記演奏時間が規定ギリギリだったりすると、本番のちょっとしたテンポの誤差で失格となってしまう可能性があります。このシリーズでは全作6分30秒〜50秒となっており、十分なボリュームで短すぎず、かつ経験の少ない先生でも余裕を持って取り組むことができます。
20〜30人向けの編曲
コンクール自由曲として使用される作品はオーケストラ原曲や委嘱作品であったりと、大編成を前提とした楽曲が多く、またそういった楽曲の方が人気が高い傾向にあります。それらを小編成で演奏する場合には、主要メロディの楽器振り替えをしたり、メロディ以外でも迫力を引き出すために一つのパートでたくさんの要素を補えるような編曲を指導者が行う必要があります。このシリーズでは最初から小編成を前提としているので、最少人数で最大の演奏効果を発揮できるように構成されています(もちろんオリジナルや大編成には敵いませんが…)。また、重要な要素を含むパートにはオプション表記で振り替えを提案してくれているので、編成上一部の楽器が抜けていたり、技術が不十分であった場合の対策もできます。またそれらも全て記譜されていて編曲の必要が無いため、出場時に編曲許諾を提出することも不要です。
シリーズ既刊楽譜も要チェック!
いかがでしたでしょう?今回は吹奏楽コンクール 自由曲向けに発売されている楽譜シリーズをご紹介いたしました。紹介した今年発売の3作品以外にも既に20作品が発売されていて、そのうちの何作品かは自衛隊音楽隊による演奏でCD化もされているようです。また、有志さまによる吹奏楽コンクールのデータベースで調べたところ、既にいくつかの団体がこのシリーズの楽譜で金賞を受賞しているケースもあるようです。シリーズ自体も2018年からの発売でまだ歴史も浅いシリーズですので、今後の拡充にも期待ができそうです。最後に既刊ラインナップも下記リンクでご紹介しておきます。最後までお読みいただきありがとうございました!