【私と吹奏楽】1つ1つの音の大切さ(上原 由佳子 先生)

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吹奏楽やブラスバンドの指導の方にとって、吹奏楽とは?バンドとは?音楽とは?

全国の指導者の方々、 そして、バンド活動にがんばるメンバーたちへの応援の気持ちをこめて、現場の指導者の方の「声」をご紹介いたします。

※ミュージックエイトHPに掲載のコラム「私と吹奏楽」より引用

沖縄県竹富町立船浦中学校吹奏楽部・上原 由佳子生先生にお話を伺いました。

部員数:男子17名 女子16名(※部員数は掲載当時のものです)
部のモットー:Joy to the Music!

 船浦中学校は、西表島の西部にある大自然に囲まれた学校です。校舎からは、エメラルドグリーンの海や緑豊かな山並みが見渡せ、環境に恵まれたとても素敵な学校です。全校生徒は33名。去る4月、私は、音楽の臨時教師として本校に赴任してきました。部活動は「野球、バスケット、吹奏楽」の3つで、ほとんどの生徒が所属しています。そして、吹奏楽では、週に1回、全校生徒33名全員がいろいろな楽器に挑戦し、合奏を楽しんでいます。これは20年前から代々引き継がれてきたものだといいます。

 私は中学生の頃、吹奏楽部でクラリネットを経験しただけで、木管楽器はもちろん金管楽器のことは全く知りませんでした。そのうえ、吹奏楽部顧間も初体験で、不安いっぱいのスタートでした。合奏をさせてみるとリズムはバラバラ、音も半音ずれたりと、とてもひどいものでした。普通の学校の吹奏楽部なら、音楽の好きな生徒が集まり楽譜もすらすらと読める状態だと思いますが、ここでは、楽譜を読むのも書くのもやっとという生徒も珍しくはありません。楽器の扱い方からの指導となりました。曲に入っても、リズムがわからない、どこで音を出せばいいのかわからないと時間がかかりますが、数々の困難を乗り越え「1つの曲」ができあがったときの、その喜びは、とても感動的です。

 週1回という限られた時間で習得する楽器の演奏を通して、生徒たちが得るものは決して小さくはないと思います。小規模校では1人がいなくなるとたちまち1つのパートがなくなります。1人ひとりが貴重な存在なのです。この生徒たちが島を出たとき、この経験がきっと役に立つ日がくるでしょう。決してマイナスにはならないはずです。

 今年は、3年に1度の文化祭。みんなが心を1つにして新しい曲に挑戦しています。1人ひとりが輝く主役となる大切なステージが待っています。いつの時代も音楽は人の心を和ませ、世の中を平和にするという偉大な力を持っているのです。西表島の雄大な自然に囲まれ、楽器を奏でることで、船浦中学校の生徒たちが心を豊かにし、将来へ大きく羽ばたいてほしいと願いつつ、文化祭の成功に向けて取り組んでいます。

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