みなさん、こんにちは。金管バンドディレクターの河野一之(コウノ カズユキ)です。
2024年もまもなく終わろうとしておりますが、本年のみなさまの金管バンドライフはいかがでしたでしょうか?今年も日本や英国をはじめ世界中でたくさんの金管バンドのホットなニュースがありましたが、今年最後の金管バンドナビではそれらの振り返りと来年2025年の各コンテスト情報などの特集をさせていただきます。
それでは今回もぜひ楽しんでお読みください!
INDEX
日本の金管バンドのコンサート
今年日本で開催された金管バンドのコンサートは約70回(日本ブラスバンド指導者協会調べ)となりました。協会が載せきれなかったコンサートやチラシ自体が無いコンサートなどを合わせると恐らく80~90回ほどになると思われます。
また現在非定期に開催されている企画バンドや休止中のバンドを抜いた約80団体ほどが全国で活動をされていますが、ここから算出すると全国で毎月約6回ものコンサートが開かれている計算となり、コロナ禍を乗り越え多くのバンドが活動を再開し、今では活発に活動されていることがわかります。
複数バンドによる金管バンドイベントの開催
さらに以前の記事でもご紹介しました『北陸ユナイテッドブラス』や北海道の『Brass Night』、東京の『東京ブラスバンド祭』など日本各地で複数のバンドが集まって開催される大規模なイベントも開催されました。
新バンドの設立
また2025年には京都『いろはBrass kyoto』、大阪『Brass Band BOOZERS』という新バンドが立ち上がるとの情報もあり、ますます日本金管バンド業界の隆盛が見込まれます。
ユースバンド
また『雀宮ユースバンド』や『大高ブリリアントブラス』『豊田ユースバンド』に続き、長野県で活動をされている『ブリティッシュ・ブラス・ドルチェ』(British Brass Dolce)が主催するユースバンドである『ブリティッシュ・ブラス・ドルチェ・ユース・バンド』(British Brass Dolce Youth Band)も発足され、これまでの小学校バンドや一般バンド以外のプレイヤー層のバンドとして、国内に少しずつその存在感を定着させて業界の活性化に寄与しています。
邦人作曲家の台頭
2024年12月には若手作曲家による会『Shining』と、東京都小平市を拠点とされている『ハッピー・ペンギン・ブラス(Happy Penguin Brass)』並びに『エンペラー・ペンギン・ブラス(Emperor Penguin Brass)』のコラボ企画で全曲新作によるコンサートが開催されました。
全日本小学生金管バンド選手権用に毎年作曲されている課題曲を除き、これまでも邦人によるコンサート用の金管バンドのためのオリジナル作品がなかったわけではありませんが(ティータ出版より金管バンド邦人系作品数CD)、今回若手の作曲家集団による全編金管バンドのためオリジナル作品によるコンサートというのはとても意味のあることでした。
今後『Shining』より動画の配信があるそうですが、一足お先に『Happy Peguin Brass』よりコンサートの様子が公開されていましたのでご紹介させていただきます。
『Shining×ペンギンファミリーコラボコンサートのチラ見せ動画』
2025年 海外のバンドの来日公演
コロナ禍も落ち着きを取り戻し、今年行われたブラック・ダイク・バンドの来日ツアーに続き、2025年には今筆者に入っている情報だけでも2団体の来日公演が企画されているようです。1970年のナショナル・ニュージーランドバンド(National Band of New Zealand)の初来日から55年、次に来日するバンドはどのようなバンドでしょうか?
ブリズベン・ブラス(Brisbane Bass)
オーストラリアのクイーンズランド州ブリズベンを拠点に活動されているバンドです。2025年に開催される大阪万博に関連して来日をする予定で現在計画をしているそうです。オーストラリアのグレードで最上級である”Aグレード”のバンドでさらに日本人奏者も在団されているということで、来日公演が楽しみです。詳細はまた入り次第お伝えいたします。
トングウィンライス・テンペランス・バンド(Tongwynlais Temperance Band)
2024年現在イギリス、ウェールズの最上級セクションであるチャンピオン・セクションのバンドであるトングウィンライス・テンペランス・バンド(バンド名は地名+禁酒バンドという意味、以後トン)は筆者がコーリーバンドに入団する前に在籍させてもらっていたバンドということで愛着もあるのですが、現在世界的テナー・ホーン奏者であるオーウェン・ファー(Owen Farr)を指揮者に据え各種コンテストやコンサートを行なっています。
ファー氏はこれまで何度も来日経験もあり、そんな指揮者と初来日のトンが繰り広げる音楽が本当に楽しみです。さっそくですが、埼玉のバンドである『埼玉プレミアブラス』との共演も決まっているということで日本ツアーの続報が楽しみです。
トングウィンライス日本ツアーについて(バンドHPより、英語)
金管バンドコンテスト2025
来年2025年も世界各地で金管バンドのコンテストが開催されますが、その中でも筆者がお勧めする選りすぐりのコンテストをご紹介いたします(現時点で情報が開示されているもの)。来年の海外旅行の時期や場所選びの一つになりましたら幸いです。
2月
- 2/7, 8 『全ノルウェー・チャンピオンシップス』
- 2/15 『ユニ・ブラス 全英大学バンド・チャピオンシップス』
- 2/16 『全仏チャンピオンシップス』
- 2/23~3/23 『全英大会地区予選』
3月
- 3/29 『全英ユースバンドチャンピオンシップス』
4月
- 4/20 『全豪選手権』
5月
- 5/10 『ブリティッシュ・オープン・スプリング・フェスティヴァル』
- 5/10『ヨーロピアン・ブラスバンド・チャンピオンシップス』
- 5/11 『ヨーロピアン・ユース・チャンピオンシップス』
7月
- 7/5 『全ニュージーランド・チャンピオンシップス』
8月
- 8/3 『ナショナル・ウェールズ・アイステッドホッド』
9月
- 9/6 『ブリティッシュ・オープン』
- 9/13 『全英大会決勝下位セクションの部』
- 9/20 『スイス・オープン』
10月
- 10/11 『全英大会決勝チャンピオンシップ・セクション』
- 10/18 『全オーストリア・チャンピオンシップス』
- 10/31, 11/1 『全デンマーク・チャンピオンシップス』
11月
- 11/1 『シディス・エンターテイメント・コンテスト』
- 11/29, 30 『全スイス・チャンピオンシップス』
- 日付未定 『ブラス・イン・コンサート』
現時点で公開されているコンテスト・スケジュールは以上の通りとなります。来年の見どころも目白押しですが、その中でも春に開催される『全英大会地区予選』、5月の『欧州選手権』、そして秋から始まる『ブリティッシュ・オープン』、『全英選手権決勝』、『ブラス・イン・コンサート』、そしてもちろん欧州豪州各地の全国大会の数々は世界ランキングに大きく影響するコンテストということで来年も激しい競争が予想されます。
2024年10月に更新された4barsrestによる世界ランキングでは1位スイス『Brass Band Treize Etoiles』、2位イングランド『Foden’s Band』、3位ウェールズ『Cory Band』となっておりますが、この上位3バンド、スイスのエトワーズは今季最後の全国大会でまさかの王者防衛ならず、イングランドのフォーデンスも秋冬のコンテストではいい成績に恵まれず、そしてウェールズのコーリーは11月に開催されたブラス・イン・コンサートで優勝を飾ったということで、この後のランキングにどのような影響を与えてくるか楽しみです。
また下位ランクにいたフラワーズバンド(Flowers Band)は今年全英大会地区予選優勝、フレンチ・オープン優勝、そして全英大会決勝での優勝と勝ちまくりの一年でした。来年のコンテストでの結果次第では世界ランキング上位も夢ではありません。
上位3団体の下にも4位ブラック・ダイク、5位アイカンガー、6位トラディーガー、7位フラワーズ、8位ブリッグハウス、9位ヴァレイシア、10位グライミィと強豪が揃い、来年のコンテスト、そしてランキングも要注目です。
最後に
今年一年、金管バンドナビをご覧いただき、そして応援してくださり誠にありがとうございました。
また来年も引き続き日本をはじめ世界中の金管バンドの情報をお届けしたいと思いますので、引き続きのご愛顧をよろしくお願いします。
今年も誠にありがとうございました。それでは、また次回お会いしましょう!
河野一之(Kazuyuki Kouno)
https://kazuyukikouno.wixsite.com/bassjunkie
洗足学園音楽大学、英国王立ウェールズ音楽歌劇大学院(PGDip)を修了。
Buffet Crampon Besson並びにMercer & Barker社アーティスト。
Nexus Brass Band、 Riverside British Brass、Immortal Brass Eternally 常任指揮者。 東京ブラスバンド祭マスバンド総括。河野企画代表。日本ブラスバンド指導者協会理事。