吹奏楽やブラスバンドの指導の方にとって、吹奏楽とは?バンドとは?音楽とは?
全国の指導者の方々、 そして、バンド活動にがんばるメンバーたちへの応援の気持ちをこめて、現場の指導者の方の「声」をご紹介いたします。
※ミュージックエイトHPに掲載のコラム「私と吹奏楽」より引用
沖縄県立小禄高等学校吹奏楽部・宮里 哲先生にお話を伺いました。
部員数:男子10名 女子41名 ※部員数は掲載当時のものです。
部のモットー:統一美
私は音楽大学を卒業して、養護学校に配属され、そこで11年過ごしました。自分にとって予想外の配属、音楽以外の授業も担当し、慣れるまでは大変でした。配属された養護学校は知的障害のある生徒たちでしたが、音楽が何よりも好きで、曲が流れると楽しそうに踊り出す子、音程はとれなくても大きな声で一生懸命歌う子……そこには、音大での技術中心の音楽とは違う、心から楽しむ音楽との出会いがありました。
その後、本校に移り5年になります。マーチングの全国大会に出るほどの学校でしたから、しばらく吹奏楽から離れていた私にとって、引き継ぐことは大変なことでした。初めて高校の教師を務めるということもあって、ストレスで疲れがたまってしまいました。その私を支えてくれたのは、ボランティアで手伝ってくれるOBを中心としたスタッフたちでした(今でも時間を見つけては、マーチングの練習に駆けつけ、熱心に後輩の指導にあたってくれます)。そして思い出すのが、赴任してちょうど1ヵ月、はじめて生徒を引率して街中をパレードしたときのことです。華やかなユニフォームで、行進曲を演奏しながら歩く凛々しい生徒の姿を見て、強い感動を覚えました。それと同時に、それまでの疲れが吹き飛び、すがすがしい気持ちになっていました。この時の感動が、今でも私を元気づけてくれます。
吹奏楽のすばらしいところは本番が始まった瞬間、一人一人が凛々しく輝いた存在になれることではないでしょうか。日頃は目立たない生徒も、一旦演奏が始まると背筋をのばし、真剣なまなざしで一生懸命演奏する姿はとても輝いて、見ている人の心を打ちます。大会でいい結果を出し、生徒と喜びを分かち合う時も吹奏楽をやっていて良かったと感じる瞬間ではありますが、生徒がいきいきと輝いている瞬間に立ち会えることもまた、私にとって大きな喜びとなっているのです。